はなし半分今日この頃

アニメ、漫画、BなL、特撮、女性アイドル、邦ロック その他諸々おもに現場で感じたことの感想等。

担当のソロが予想外の形で披露された話。(3rd仙台公演)


先日、THE IDOLM@STER SideM 3rd LIVE TOUR GLORIOUS ST@GE! 仙台公演が行われました。
その1日目の公演で私の担当アイドルである冬美旬のソロ曲Genuine feelingsが披露されましたのでそのことについて書こうと思います。
多くの人が素敵な感想も有益な現場レポも上げてくれていてもう出尽くした感はありますが、これは私の、一介の旬Pであり永塚拓馬さんのヲタクの個人的な覚書だと思ってください。そうしないと無限にこの話しそうなので……


今回の仙台公演はHigh×Jokerが両日参加することと、事前に公式から披露するのは殆ど新曲、と大胆な殺人予告されていたため少なくとも夏来か旬のソロどちらかは来るだろうなとは考えていた。
そして始まって仙台1日目。ライブも中盤で続いてはソロコーナーです!とMCをしていた方が言った時そのトークパートにHigh×Jokerのメンバーは誰もいなかったのでこれは今日誰かしら歌うなと予想も出来た。でもなかなかハイジョのターンは来なくてもしかしたら…ないのかも…と少し思った辺りでの夏来ソロ。夏来がソロで歌うならバックダンサーなしだよなあと思ってたけどその通りで1人でステージに立つ渡辺さんは新鮮でちょっと不安な気持ちになった。
途中、後ろのモニターに過去のSRカードの絵が流れてくる演出があったのだがその中にオフショットが見えた時、なんとなくこれはこのまま旬が来るのでは気持ちが強くなった。旬がピアノを弾いて夏来がバイオリンを弾いてるあのカード。
夏来がステージ上段で歌ったので出て来るのならばデベソかなと思ってドキドキしてた。でも夏来が歌い終わってしばらくしても全然明かりはつかないし音もしない。なにが始まるのか急にわからなくなって怖くなった。そのうちに真っ暗な会場で突然ピアノの音がした。
今回の出演者の中でピアノというキーワードで思い浮かぶキャラクターは旬だけだ。来てしまったのかもしれない、と思う。でも変わらず舞台は真っ暗なままだ。
突然下手側のお客さんの方から悲鳴が聞こえて視線をそちらに移すとグランドピアノが見えた。事態をよく理解出来ないままでいると永塚さんが椅子からすっと立ってたっぷり間をおいてとってもとっても長くて深いお辞儀をした。さっきのピアノはもしかして永塚さんが弾いていたの…?私はこの時、ピアノ演奏はこれで終わりだと思っていたのでえっ下手側のお客さん良いなあ!私、しっかり見れなかったじゃん!なんて思っていた。今思うととてものんきだ…。でも顔を上げた永塚さんはそのままピアノの前に戻っていった。
あの場にいた全員が、次何が行われるのか予想出来た上で本当なのだろうかと息をのんだと思う。
およそアイドルのライブとは思えないくらいピリピリした雰囲気で正直、こんなに静かなsideMの現場は初めてってくらいに静まり返ってた。全員の目が永塚さんと、ピアノに集中する。真っ暗な会場にそこだけ切り取られたようにピンスポットが当たって眩しい。弾く気なのだろうか。ゆっくりとタイミングを探るように、永塚さんの指が音を奏で出す。旬のソロだ。まさかのピアノアレンジのGenuine feelings。
てっきり歌い出しの前にオケが被せで入ると思ってたのに、いつまでたっても永塚さんのピアノの音しか聞こえない。この辺りで私は頭が真っ白になってしまっていて連番の友人が機転をきかせてくれて「ちゃんと見て!」と声をかけてくれて崩れそう(だったらしい)な私を支えてくれた。なにか刺激があると不思議と人間意識がはっきりするものでそうだ、崩れ落ちてる場合じゃない!と踏みとどまった。見届けなければ。
永塚さんがガチガチに緊張しているのが手に取るようにわかった。肩に力が入っててあのままじゃ持たないって思った。結構頭の方でちょっと派手目なミスタッチ。ライビュでは鍵盤がアップで映されていて永塚さんの震える指が見えたらしい。楽器って1つミスがあると気持ちが切れちゃうというかダメかもしれないって嫌な気持ちになって雪崩みたいに崩れちゃうことがあるから序盤で転んだのは本当に本当に怖かった。
オケ被せが一切ないのでこの空間、この時間は全部永塚さんのさじ加減で始まって永塚さんのさじ加減で終わる。普段一緒の仲間は誰もいなくてこの時間は永塚さんと旬のためだけにある。音が途切れないことを祈った。
歌い出し、何度も何度も繰り返し聞いたCDの音源とは違ってちょっとか細くて絞り出すみたいな歌い方で私にはとても苦しそうに聞こえた。
以前、永塚さんはラジオにゲスト出演した時に「この曲は、本当はもっと違う歌い方を考えていたけれどそれはライブにとっておこうということになったのでいつかライブで披露できるといいな」みたいなことを語っていた。
Genuine feelingsの1番は過去の冬美旬を歌ったような歌詞。よく冬美旬という人間を語る時に話題にされるこの過去だが、実はこの件について明確に何があったのか公式で語られたことはなくて「夏来がきっかけでピアノにまつわる何かが事故や事件のような事が起こり、旬はピアノを辞めた」というとても断片的な情報しかない。何かか辛い出来事があったということだけしか私たちは知らされていないしおそらく今後も明かされることはないんじゃないかと思っている。
永塚さんが考える旬の過去はこんなに苦しいものだったのかと思うと凄く辛くなったし、段々ピアノの音が何かに縋るような必死さに聞こえてきた。
苦しく聞こえた歌い出しから、サビに近づくにつれて段々胸の内を明かすように色んな感情を混ぜてぶつけるみたいに過去のこと、仲間のこと、変わりたいと思い始めた自分のことを歌っていた。最初は縋るように聞こえてたピアノも、段々力強さみたいな強い意志が見えた気がした。
それまでもだいぶ永塚さんと旬の境界線が曖昧だったんだけど、間奏のグリッサンド(と、いうらしい。一音一音を区切ることなく、隙間なく滑らせるように流れるように音高を上げ下げする演奏技法、Wikipediaより なおこの技法は指を傷めることがあるらしい…)が綺麗に決まった時、私は冬美旬のピアノ演奏を聴いているんだと確信した。あの辺りで心なしかピアノも少し緊張のとけた音になった気がした。
私は普段、ライブ中でも自分の周りや客席がどんな反応しているかなどが気になってしまう方で、この辺りでその余裕も少し出てきて自分の視界の範囲いっぱいに青いサイリウムが広がってるのがわかった。担当のソロで個人カラーのサイリウムで会場が埋まることを夢見ていたので早々にその光景が叶ってしまった。
サイリウムの明かりは応援してるよの証。あの青い明かりの分だけ旬の過去も今の悩みも進もうとした決意も肯定されたような気がした。

1曲フルでやりきった永塚さんは沢山の人の拍手を浴びながら仲間が待つセンターステージへと駆けて行った。この先は、アイドル冬美旬のターン。
1人で縋っていたピアノから離れて仲間に囲まれてショルキーを手に仲間の背中を見守るように歌う旬はアイドルになって幸せそうできっとこの子はこれからもずっとアイドルで居続けてくれると思った。



「ながにゃんが旬で、旬Pは本当に幸せものです こんな風に旬と向き合ってくれて本当本当に嬉しい
ながにゃんはこれからどんどん今以上に素敵な声優さんになるって確信出来るし、旬もこれからどんどん今よりずっと素敵なアイドルになる
次にながにゃんがどんな旬を見つけてくれるのかが楽しみです」
これは3年前、ファスライを見た私が電車の中で泣きながら書いた記事の結びの文だ。(ながにゃんって呼んでる……)あれからたくさんの時間がたって2ndグリツアそしてアニメと成長してsideMは本当にたくさんの人の目にとまる作品になりました。
そして、永塚さんはその度に新しい表現、その時そのメディアでしか出来ない思いで新しい旬の魅力を提示してくれていたけれども永塚さんはとうとうここまで旬を連れてきてくれたよ。おめでとうあの時の私。

永塚さんが旬役に決まって結構すぐにピアノを習い始めたというのはブログで書かれていたので知ってはいた。いつかどこかで披露してくれればいいな〜なんてのんきに思っていたけど、冬美旬としてのピアノには全然期待していなくて、だって神童冬美旬のピアノを求めるのは流石に荷が重すぎるし、技術的な面を除いても冬美旬としてピアノを弾く重みを永塚さんは誰よりもわかっていたと思う。
それでも挑戦してくれたこと、やり遂げてくれたこと、私たちに「冬美旬のピアノ演奏」を見せてくれたこと全部に感謝をしたいです。私はあの時確かに旬の過去と未来に触れていたんだなと今になって思います。旬らしい、音を聞かせることに重きを置いた素敵なステージでした。


今回仙台公演で披露されてしまったのでこの後の3rdツアーで旬のソロはおそらくやらないと思います。それでも今後開催されるであろうライブツアー、何かしらの機会で旬のソロは披露されるし永塚さんが「次の機会ではミスを少なくして〜」と語ってくれたので今回のようなピアノ弾き語り形式で披露されるチャンスはきっとでてくると思います。なのでどうか現地に足を運んで旬のピアノを聴いて貰えると嬉しいです。円盤もいいんですけど出来れば現地、もしくはライブビューイングで(行きたくても行けないよ!って人も多々いることは承知の上で)
実は現地2日目帰る際の電車待ちの時に「旬が好きな人って本当にいたんだね〜周りに全然いなくて〜」みたいに話してる人がいて…本当に…お前…なんてことを…って思ったんですけど、確かに他のハイジョの子に比べると魅力がわかりやすくない子ではあるとは私も思ってはいます。(だが言葉は選んでくれあと場所も考えてくれ)
でも旬の座右の銘は「音色は言葉よりも雄弁。」
どんなに言葉を尽くすよりもあの演奏を聞いて、あの震えるような旬の過去と未来に直で触れたらきっとみんな旬のことも気になると思うし、それを表現してくれた永塚さんのことが気になると思うので。
どうか冬美旬のことを気にかけて好きになるきっかけを逃さないで貰えると嬉しいです。永塚さんも旬ももっともっと上を目指せる人です。私が今、想像する範囲なんて飛び越えて次も素敵なものを提供してくれるはず!
世界一楽しいお仕事を、一緒にしましょう!